猫と一緒にガジェットライフ♪ムチャ(@mutoj_rdm821)です。
先日、「裁断本をお譲りします」という記事を書いたところ、「違法では無いにしろ、グレーゾーンに近い行為を堂々と行う事」についてご指摘をいただいたため、納得して記事を取り下げました。
ただ、法律面で調べたことはせっかくなので残しておこうと思います。
法律的に問題無いか
古物営業法について
古本を売ることになるので、古物商に入りそうです。Wikipediaには以下のように書かれています。
古物商に関しては「利益を継続的に出そうという意志があるかどうか」が問われるようです(古物商許可「業」として行う|鈴木行政書士事務所 より)。
今回の件では、購入時の半額でと考えていましたし、いわゆる「せどり」のように「安く買ってきて高く売る」という行為を継続的に行おうとしてるわけでは無いので、こちらは問題無いと思います。
(ここで利益を上乗せして販売するということになると自炊代行業者の話になりますが、また違う議論になると思いますのでここでは触れません。)
著作権について
次に著作権に関してですが、まずスキャンしたデータを売買したら間違いなくアウトです。
データを手元に残して原本を譲渡する件ですが、以下のサイトで詳しく考察されております。
自炊後の裁断本を売買することに問題があるのかないのかという話 | ノート100YEN.com |
正規に購入した流通品であれば、著作権法第26条の2。(譲渡権)より、転売しても問題は無いと結論づけています。
また、ネットでよく言われる「原本を所持しておかなければいけない」という意見については、著作権法の第47条の3。(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)と勘違いしているという見解を示しています。
ソフトウェアの場合はいくらでも複製できてしまうため、DVD等のメディアと共にライセンスという形で利用する権利を購入し、PC等にインストールして使用します。もしこれを譲渡する場合、PCからソフトウェアをアンインストールしなければなりません。
しかしこれは「プログラム」について規定されたものであるため、書籍は該当しないということです。
じゃあ中古CDをリッピングして売るのはどうなの?
これは著作権上は問題が無いという解釈ができてしまいます。
一度CDが販売されてしまうと、その譲渡権はもう役目を果たしたということで消えてしまう(消尽と言います)と規定されています。権利者はCDを最初に消費者に売った段階で元を取るような価格設定をしているのだから、その後、中古市場を転々とするCDから何度も金を取る権利はもうないよという発想です。ということで、消費者が買ったCDについては譲渡権は消尽してますので、物々交換サービスは著作権法上は問題ありません。
じゃあOKじゃんという話では無く、上記記事の著者の次のエントリーではこれを問題ととらえて対策について検討しています。
CDをリップしてから中古屋に売却問題への対応策を考える:栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmedia オルタナティブ・ブログ |
PCにリッピングする行為について、2005年に私的録音録画補償金制度を拡大してiPodやPC等も保証の対象とするべきかという検討が以前されましたが、反対意見が多かったため結論が先送りとなり、現在も検討中のままとなっているようです。
リッピング対策として音楽業界が導入したコピーコントロールCDは、大きな問題を抱えて大不評となり、現在は使われていません。そうこうしているうちに、音楽ダウンロード販売についてはDRMフリーが主流になってきていますが、もちろんこれを配布したら著作権違反となります。
結局裁断本の販売はどうなのか
裁断本の場合はCDとは違って原本の完全なオリジナルではないため、CDと全く同じに考えるべきかどうかというところですが、それ自体で十分製品として成立してしまう(スキャンする分にはむしろ好都合である)ため、同じ考え方が適用できると考えます。
従って、裁断本を販売することは、現行法では違法とは言えないが、グレーゾーンに近い行為であると言えると思います。
ヤフオクやAmazonマーケットプレイスでは裁断済みの本を売ってることもあるようですが、しっかりと問題を認識しておかないと、もめ事になったときに不利益を被るかもしれません。
もし譲渡するにしても、親しい友人など、自身の制御の効く範囲内で行うべきであり、今回のようにインターネット上で公に募集するという行為はすべきでは無かったと反省しております。
今回記事を投稿してから、申込みが1件も無かったことから、あまり需要が無い行為なのかもしれませんが(自分の影響力が低いのもあるでしょうが)、もし同じようなことを考えた方がいらっしゃれば、参考になれば幸いです。
※自分は法律の専門家ではありませんので、裁断本の販売について実際の裁判等でどう判断されるかまでの責任は取れませんので、その点はご了承ください。