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猫と一緒にガジェットライフ♪ムチャ(@mutoj_rdm821)です。
先日のソニーの新型ウォークマンやオーディオ新製品の発表でやたらと書かれいる「ハイレゾ」という言葉。どういうものかご存じでしょうか?
音楽と言えば長らくCDが基準で、MP3やAACといった圧縮音源も、CDの品質が基準になっています。ハイレゾ音源はCDを超える品質を持っている物なのですが、今後ウォークマンなどを取りあげていくに当たり、解説を入れておかないと分からなくなってしまうと思ったので、できるだけわかりやすくまとめてみます。
目次
1. そもそも「ハイレゾ」という言葉は
ハイレゾはハイレゾリューションの略で、英語だと「High Resolution」で、「高解像度」という意味です。2. じゃあ高解像度って?
画像だとわかりやすいと思います。「高解像度の画像」といったら、単純に「画素数(ピクセル数)」が少ないというのはすぐ思いつくでしょう。画素数が少なければ、拡大するとモザイク状になってしまいますし、解像度が高ければ細かいところまではっきりと見えます。
画像の品質を決めるのにはもう一つ要素があります。「色数」です。
最小は白黒の2色でしょう。写真などで一般的なのは、1677万色(24ビット)です。高解像度な画像と言ったときに色数は含まれないことが多い気がしますが、画像の品質を決める大事な要素です。
つまり、画像の場合、品質を決める要素は
画素数×色数
ということになります。
ちなみに元となるデータはデジタルが対象です。アナログの場合、解像度という概念は、技術上の制約から来るものはありますが(例えばアナログテレビの走査線数が525本とか)、次の音声の話もデジタル信号が対象と考えてください。
3. 音の品質を決める要素
では音の場合はどうでしょうか。音は空気の振動で、時間と共にその強さが変わっていきます。図で示すと以下のような感じです。CDはこの信号をどうやって記録しているのでしょうか。やり方はこうです。
- 一定時間おきに信号の強さを測る
- その強さを記録する
ただし、音の強さを無限に細かく測定することはできないので、ある程度の枠を決めて、その枠に無理矢理収めます(例えば四捨五入などで)。よって、図上の●は、実際の波形とは少しずれた位置になる場合があります。
つまり、音の場合の品質を決める要素は
測定する間隔×音の強さの度合い
ということになります。
技術的には、一定間隔で測定する事を「標本化」、音の強さの度合いを一定の枠内に収める事を「量子化」と言います。標本化はサンプリングとも言います。
例えば、1秒に1回測定、強さを4段階とした場合、標本化周波数は1Hz、量子化は2ビットとなります。
ちなみに、この方法でアナログ信号をデジタル化することを、パルス符号変調(PCM=pulse code modulation)と言います。
また、量子化ビット数が多いと、より小さな信号まで再現可能になることで、「ダイナミックレンジが広い」と言ったりします。
標本化の方は・・・本来「解像度」という言葉自体は画像から来てるわけだから、音の場合は原音の「再現度」が高い・・・でもそれだと量子化の方も含んでしまう。難しいですね。この辺、オーディオはある種オカルト的に語られることもあり、表現の仕方は明確に定義されていないというのが結論な気もします。
4. CDの品質
CDでは、これらが44.1kHz/16ビットとなっています。なぜこの値なのでしょうか。標本化の周波数
(年をとるとだんだん高い音が聞こえなくなってきます。テストするソフトとかありますね。)
標本化を行う際に、あんまり低い周波数で行うと、元の波形を再現できなくなってしまいます。どれだけ標本を取れば元の波形を再現できるかというのは数学的にわかっていて、標本化周波数の半分までです。
(余談ですが、この半分の周波数のことをナイキスト周波数と言い、この再現限界のことは標本化定理と言います)
つまり、40000Hz(40kHz)以上で標本化すれば大丈夫ということになります。なぜ44.1kHzという中途半端な値なのかは、規格策定当時の技術や製品の仕様からきているようです。(この辺参照)
量子化のビット数
16ビット=63556段階ですから、これだけあればほとんどの音が再現できるでしょうということかと思います。
5. ではハイレゾ音源の品質は
ここまでくれば分かると思いますが、CDよりも大きな標本化周波数、量子化ビットで記録した音源の事です。上に乗せた図でも、実際に記録しているのは丸印の値で、これは場所によってはかなり元波形とずれているのが分かると思います。より細かくデータを取れば、より元の波形に近い音が再現できるというわけです。こんな風に。
例えば96kHz/24ビット、192kHz/24ビットといった具合です。(この組み合わせが多い)
「そんなに周波数高くても、聞こえないんじゃ意味ないのでは?」と思われる方もいるでしょう。確かに耳には聞こえないでしょうが、人間は耳に聞こえない部分の音も感じ取っているという話もあります。
また、昔はCDのデータ量というのはとても大きなもの(約650MB)でしたが、技術の進歩によりコンピュータの処理速度や記憶媒体の容量は格段に増えています。であれば、より高音質な音源を使おうということで、ここ数年盛り上がっているわけです。
6. ハイレゾ音源の形式
では実際にハイレゾ音源の形式(ファイル)にはどのような物があるでしょうか。FLAC
24ビット/192kHz、8チャンネルまでの音声をサポートしています。
OTOTOYやe-onkyo musicといったサイトでは、この形式の音声ファイルを購入することがデキます。また、ウォークマンの公式音楽配信ストアmoraでも、2013年10月17日よりFLAC形式のハイレゾ音源の配信を開始することが発表されました。
DSD
これはPCMとは全く違う方式で音声をデジタル化した物で、興味のある方はリンク先のWikipediaの内容をご覧下さい。スーパーオーディオCDに使われている形式です。こちらもCD以上の情報量を持っています。
量子化は1ビットなのですが、標本化周波数を2.8224MHzとCDの64倍とし、音の強さを信号の密度で表します。ものすごくざっくり描くと下の図のような感じです(あくまでイメージです)。
標本化周波数を倍の5.6448MHzとした形式もあります。前者をDSD64、後者をDSD128と呼ぶこともあります。
7. ハイレゾ音源を再生するには
これまでの製品では、CDをベースにして作られているのがほとんどのため、そのままハイレゾ音源を聞くことはできません。再生するには専用のハードウェア/ソフトウェアが必要です。
パソコンで聞く
ポータブルプレイヤーで聞く
ハイレゾ音源のファイルをそのまま再生できるポータブルプレイヤーもあります。有名なところでは「Astell&Kern AK120」や、先日発表された新型ウォークマンのZX1やFシリーズが対応しています。
2015/07/01更新。その後対応製品は続々と発売されています。AK100II、ウォークマンZX2といった高価な物や、ウォークマンAシリーズといった手頃なものもあります。
ネットワークプレイヤーで聞く
2015/07/01追記。NA7004は販売終了となり、後継としてNA8005やNA6005が出ています。
アンプやスピーカー
とはいえ、一概にハードウェアスペックに書かれていないから非対応と言い切れないと思います。
CD以上のものはなかったからそこまで検証してないだけかもしれません。ただ、本格的にハイレゾ音源を楽しみたいと思ったら、考慮しておく必要があると思います。
8. まとめ
一言で言えば、「ハイレゾ音源=CDよりも情報量の多い音声形式」です。環境は整ってきており、購入は既に可能、再生するためのハードウェアも手の届く範囲になっています。特にソニーは対応ハードウェアに「Hi-Res AUDIO」というロゴをつけ、一気に製品を揃えてきました。アンプやスピーカー、ヘッドフォンまで対応製品として出してきたのは新しいと思います。今後ますます普及して句可能性が高いです。
次回は、ソニーショールームで発売前の新型ウォークマンなどを体験してきたレポートをお送りしたいと思います。全ての機材を揃えても、どれだけの効果を感じることができるのかは残念ながら個人の能力・感覚によります。自分の場合はどうだったのか・・・
それではみなさまよきガジェットライフを(´∀`)ノ