見た目では分からない障害を持ちながら、なんとか日々を暮らしている人がいます。
難病や精神障害、発達障害など・・・。
どういう経緯でたどり着いたか忘れてしまったのですが、「見えない障害バッジ」という物を作って配布している方がいらっしゃることを知りました。
今回はこのバッジのことを皆様にお伝えしたいと思います。
リボン運動
その前にリボン運動について。様々な社会問題に対する理解と支援の運動のシンボルとして、特定の色のリボンが使われています。
ピンク
乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進することなどを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーンです。レッド
エイズ患者を差別せず、共に生き、応援していく意志を表しています。オレンジ
子ども虐待防止のシンボルマークとしてオレンジリボンを広めることで、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動です。この運動、日本で起きた虐待による死亡事件がきっかけです。オレンジリボンマークは本来の趣旨に反して使用されないよう、商標登録がされています。
グリーン
移植医療普及のためのシンボル。臓器移植への正しい理解と、ドナーとドナーの家族への敬意を表していることになります。ブルー
北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を信じて」への意思表示ホワイト
開発途上国における妊産婦の命と健康を守る国際的な運動のシンボルイエロー
障害を持つ人たちの自立と社会参加を目指すイエローリボン運動参考:赤、青、白…どれだけ知ってる?リボン運動 [ボランティア] All About
見えない障害バッジ
「わたしのフクシ。」という、企業でもNPOでもない有志の集まりで、公式サイトもあります。
見えない障害バッジはリボン運動にヒントを得て、見えない=透明なリボンとしてデザインされました。
見た目分からない障害を負った人と障害を理解してくれる人を繋ぐきっかけに、見えない障害のことを広く知ってもらうために、そんな思いが込められています。
バッジは2種類あって、当事者用と啓発用があります。
当事者用には赤いハートマークが付いています。
「大切なものは目には見えない」と書かれています。
フックも二種類あって、大きめのしっかりしたフックと、スマホストラップのようなミニフックタイプがあります。
自分はひらくPCバッグのファスナーの部分に付けてみました。
バッジは1つ350円+送料です。次の申込み開始は2016年5月頃の予定となっています。公式Twitterアカウントがあるので、気になる方はフォローしてチェックしてみてください。
見えない障害の辛さ
自分はうつ病患者です。精神障害者手帳3級を持っているので、障害者です。でも見た目普通の人です。うつ病になったのはSEという職業のせいだけではありません。確かに忙しい時だったのですが、他にもいろいろ要員があって複合的にうつ病になりました。
SEという職業はブラックと言われがちですが、実際は会社によります。しかしどれだけホワイトな会社でも、急な障害対応や納期前など、残業をしなくてはならない状況は出てきます。
ですので、「うつ病」をオープンにしてしまうと敬遠されてしまいます。
復職の際、障害者雇用で募集している会社を数社受けましたが落ちました。「残業少なめで・・・」というと難色を示されました。
まあ障害者は精神だけではないので、仕方ありません。
今勤めている会社はうつ病のことを知って配慮してくれていますが、出向先には別の病気として伝わっています。
健常者と同じパフォーマンスを求められます。
あまり休んだり遅刻したりするとクレームになるため、プレッシャーは大きいです。
そして傷病手当金はもうもらいきってしまったので、次また再燃して休職することになってしまったら終わりです。
福祉制度の谷間
うつ病はまだ障害者として認定される病気なので福祉制度があります。(制度を知らされず利用されていないケースもありそうですが・・・自分の場合「自立支援医療制度」は病院では教えてもらえず、休職する際に会社で教えてもらうまでは利用していませんでした。)
日常生活に支障をきたすレベルの障害を持ちながら、制度上障害者という認定がされず、福祉制度を受けられないまま生活せざるをえない方がたくさんいらっしゃいます。
自分も当事者になりうる身近な問題として、認識していただければと思います。
バッジを見かけたら
自分はバッジを付けてるからといって、例えば「電車で席を譲れ」とかそういうつもりはありません。薬をたくさん飲んではいますが、なんとか仕事できるレベルなので、普段助けが必要というわけではないからです。
(休日はぐったりですが)
でも中にはもっと大変な「目に見えない病気」によって苦しんでおり、例えば通院のためにどうしても電車に乗らざるを得ない方もいらっしゃいます。
もしバッジを付けてる人を見かけて、その人が辛そうにしていたら、「何かお手伝いできることがありますか?」と聞いてもらえればと思います。
そういう方は肉体的だけでなく精神的にも辛い思いをしています。ちょっとしたふれあいだけでも救われます。
もしもこの運動に賛同してくださる方がいらっしゃいましたら、啓発用のバッジを付けてもらえればと思います。
そうすれば当事者も声をかけやすいと思います。
当事者同士では、不幸自慢することのなく、お互いが最大の理解者として振る舞っていただけたらと思います。
賛同できない方へ
マタニティマークを付けてる人に対して嫌がらせをしたり、挙げ句の果てに走ったりできないことからひったくりなどの被害に遭うケースもあるそうです。妊婦さんに対してもそういう人がいる中で、見えない病気を持つ人に対して、否定的な目で見る方もいらっしゃるでしょう。うつ病なんて見た目全く分からないし、「甘え」「怠けてるだけ」と言われるケースもあります。優遇されたりすると反感を買うとは思います。
病気の辛さは当事者じゃないと分からないので、理解してくれない人を無理に引き込もうとするつもりは全くありません。
でもこちらが病人であることで、そういう方々に対して害を与えることはありません。
なのでせめて放っておいて欲しいと思います。
こちらも理解の無い方へ助けを求めたりしません。
「そのたくさん飲んでる薬の医療費は誰が出してると思ってるんだ!」と怒る方もいらっしゃるでしょうか。
そういう意味では間接的に迷惑をかけているかもしれませんね。すみません。
でも薬を飲まないとこちらも仕事して税金や年金、保険料を納めることができないのです。
おしまいのひとこと
なるべく多くの人に知ってもらいたいと願って記事を書き始めましたが、広く知られるようになると必ず否定する人が現れるのが昨今の流れ。「うつ病ごときで大げさなこと言っている」と思われそうなのですが、それでも声をあげないとせっかくの活動も埋もれてしまうので、このままアップします。
もしも賛同してくださるなら、シェアしてもらえると嬉しいです。そしてバッジを見かけたら声をかけてあげてください。啓発用バッジを付けてくれたら嬉しいですが、そこまでしなくてもわかってもらえるだけで十分です。
自分もうつ病で当事者だからとそこで思考停止するのではなく、各色のリボン運動を始め、もっと多くの難病があることを認識して、その上で自分のできる事をしようと思うのでした。