すでにTwitterなどで絡んでいる方はご存じだと思いますが、自分はうつ病患者です。
2010年に初診、それからずっと投薬による治療を続けています。
2016年4月になって、飲んでいる薬を減らさなければならなくなってしまいました。
このことの何が問題で、今自分が崖っぷちに立たされている事についてみなさんに知ってもらいたくて記事を書くことにしました。
自分の病歴について
簡単に自分の病歴を説明します。
2010年3月にうつ病の初診を受け、しばらくは仕事を続けていましたが2011年5月に出社することもままならなくなり、休職に入りました。
1年間の休職の後、産業医面談を受けましたが「復職不可」の判定。
これはその時花粉症で辛かったのを医者に相談した際に飲んでいた薬が変わったのですが、元飲んでいた薬の離脱症状のせいで体調を崩したためでした。
※離脱症状とは飲んでいる薬を急に止めることによって体に様々な症状がでることを言います。薬が入ってくることを前提に体がバランスを整えていたところを急に入ってこなくなるため不調が出てくるのです。
会社規定により休職期間満了のため退職になり、実家近くへ戻って病院も変えました。
休職中は傷病手当金で生活していましたが、あと半年残っているのでギリギリまで使って体調を整えました。
2013年に仕事復帰。しかし今度は睡眠時無呼吸症候群と分かって、検査や入院のためにまた半年ほど仕事ができない状態が続き、10月に再び復帰。
2014年8月、飼っていた猫がガンになってしまい、かさむ医療費とどんどん弱っていく猫を前に再び体調崩して退職。
再び1年ほど休職したのちに復帰して現在に至ります。
一時かかっていた担当医がやたら薬を出してくる方針で大量に薬を飲んでいましたが、別の医者に変わってもらった際に整理し、現在は3種類の抗うつ薬を飲んでいます。
- パキシルCR(25mm×2錠/1日)
- サインバルタ(30mm×2カプセル/1日)
- リフレックス(15mm×3錠/1日)
加えて抗不安薬のセニラン(レキソタン)を1mm×2錠/1日飲んでいました。
(2015年12月まで)
(2015年12月まで)
厚生労働省の「向精神薬の多剤投与に対する指導」
精神医療における多剤投与については具体的にいつ頃からかというのは辿っていくとキリが無いのですが、2010年に「厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が発足し、それからいろいろと議論がなされてきたようです。
2014年10月より、精神科外来では抗不安薬、眠剤は2剤まで、抗うつ剤及び抗精神病薬は3剤までに制限され、それを超える処方を行う場合診療報酬が減点されることになりました。
ただし例外規定があり、以下の場合は減額されないとされています。
向精神薬多剤投与により減額されない例外(厚労省通達)
- (イ) 他の医療機関で既に向精神薬多剤投与されていた場合、初診から6か月間まで
- (ロ) 現在投与されている向精神薬を切り替える場合、最大3か月の移行期間(年に2回まで)
- (ハ) 臨時に投与した場合。連続投与期間は2週間以内または14回以内。1回投与量については1日量の上限を超えないこと。投与中止期間が1週間以内の場合は連続する投与とみなす。
- (ニ) 抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師として別紙様式39を用いて地方厚生(支)局長に届け出た者が、患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合
- 臨床経験を5年以上有する医師であること。
- 適切な保険医療機関において3年以上の精神科の診療経験を有する医師であること。
- 精神疾患に関する専門的な知識と、ICD-10の「3」の「(1) 疾病,傷害及び死因の統計分類基本分類表」に規定する分類をいう)において F0 から F9 の全てについて主治医として治療した経験を有すること。
- 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了していること。
これについて、医療的見地から「なぜ3種類か」という情報がなかなか出てきません。
多剤投与による身体的負担があるのかというとイマイチはっきりせず、あるとしたら処方薬を一気に飲んで(OD=過量服薬)自殺を計るケースがあるくらい。
そして2016年度診療報酬改定ではさらに厳しくなり、4月から抗うつ薬及び抗精神病薬も2剤までになりました。
例外規定はそのままのようです。
なぜ1年も経たず規制が強化されたかというと、薬剤師による向精神薬の横流し事件が発端となったようです。
医者から受けた「仕打ち」
前提はここまでで、実際に自分が医者から受けた「仕打ち」についてお話しします。
1件目の病院
2015年12月に引越にあたって、病院を移ることになりました。
知人の勧めで選んだ病院と先生に、これまでの病歴と飲んでいる薬を話しました。
まず言われたのが
医者「薬多すぎです。うちでは同量出せません。」
でした。
上に書いた規制は知らなかったのですが、自分としては3剤で安定していたので減らしたくはありませんでした。離脱症状の苦しみは最初の復職失敗で知っていましたので。
とはいえ規制なら仕方ありません。3種のうち一番最近になって飲み始めたサインバルタ(と言っても半年以上は飲んでいる)を除くことにしました。
離脱症状が心配なので、
自分「余っている分を1日1カプセルにして徐々に減らしていくのはだめでしょうか?」
と聞くと、
医者「止めた方がいいよ~」
と言われました。
一応血液検査や心電図を取りましたが、特に異常はありませんでした。
引越は事情あって急遽行ったため、勤務先はそのままで通勤に2時間かかっていました。その現場は2016年1月と決まっていたので、それまでの2ヶ月間しのぐためにサインバルタは1カプセルに減らして飲んでいました。
2月になって仕事場が近くなったので、サインバルタを完全に止めたところ、通勤が楽になったはずなのにとても体が重く、集中力が無く、仕事に支障をきたすレベルに体調が悪化しました。
そのことを医者に告げると、こう言われました。
医者「うちでは出せません!」
自分「そうは言っても離脱症状が・・・」
医者「出せません」
自分「じゃあサインバルタだけ別の病院で出してもらうのはだめですか?」
そう聞いたところ次のように返ってきました。
医者「それは認めません。保健所を通じて(この辺記憶が曖昧)他で処方されてたらわかるので。それならうちでは一切薬を出しません。」
目の前が真っ暗になりました。確実に離脱症状が出ているにもかかわらず、出さないと言われたらどうすればいいのか。
そもそも例外規定があって絶対禁止では無いはず。
他の病院を探すしか無いと思い、電話で同種同量の処方ができるかどうかを確認して、「相談の上」という条件ながら受け入れてくれそうな所を見つけました。
2件目の病院
3月1日、初診で病歴とこれまでの事情を説明したところ、全て同じには出せないが、減らしていくという前提で、セニランを1日1錠に減らすことになりました。
サインバルタを戻したおかげで体の重さ、集中力は戻ってきたのですが・・・
今度は異常な疲れと息切れ、発汗があり、週1くらいで休むか半休を取るようになってしまいました。
4月になって、そのことを医者に相談しようと思ったら、上であげた4月からの規制改定の話をされ、
「やはりうちでも3種類は出せない」
と言われました。
今の自分はある事情で金銭的な悩みを抱えていて、引越もそのためで医者にも具体的な内容は伝えてあったのですが、そのことを交えながら
医者「今日から薬は同量は出せず、1種減らしてしか出せない」
医者「あなたは悩みを抱えていて、また過去の買い物依存の兆候を見ると今の薬が効いているとも限らない」
医者「うちとしては方針を出しました、あとはあなたがどうするか決めて下さい」
まるで「嫌ならよそ行け」と言っているようでした。
最初からなんか前回の診察と様子が違ったのですが、あなたは面倒な患者だからうちじゃ診きれないってことかな?と思いました。
【2016/04/04追記】
先月受診した際には「このままの量で行きましょう」という話だったので、その点でも言っていることが違っていました。
最初からなんか前回の診察と様子が違ったのですが、あなたは面倒な患者だからうちじゃ診きれないってことかな?と思いました。
【2016/04/04追記】
先月受診した際には「このままの量で行きましょう」という話だったので、その点でも言っていることが違っていました。
今の状態からしたら薬を減らすなんてとんでもなく、抗不安薬を追加したいくらいの状況だったのに、それを伝えてもまるで聞く耳を持ちません。
ぐったりうなだれて、こう言うしかありませんでした。
自分「じゃあ紹介状書いて下さい」
誰のための医療?
医者は病気を治すために存在しているのではないでしょうか。
嫌ならよそ行けというのは治療なのでしょうか。
うつ病の患者がそんなことを言われたらどう思うか、どういう精神状態になるか、心療内科の医師なら分かると思うのですが。
自分は傷病手当金をすでにうつ病でもらいきってしまっているため、同じ病気ではもらう事ができません。
失業給付の受給資格を得るには「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。」とあります。2015年8月から今の会社に勤めているので、過去2年間ならもしかしたら通算で12ヶ月あるかもしれませんが、その間も失業給付をもらっていたので資格を得られるかどうか微妙です(要確認ですが)。
2度目の休職の際に最悪生活保護かと思って役所に相談しに行ったのですが、親兄弟いるうちはそっち頼れと言われるだけで全く相談になりませんでした。
親はもう年金暮らしだし兄弟も大人一人余分に食わせるほど余裕ありません。
件の悩みもあって、今お金はギリギリの状態です。
仕事ができなくなる=死です。自分には後がありません。
そもそも規制を急いだ理由は「横流し事件」が発端で、その対策が診療報酬+報告義務のペナルティです。
「3剤は患者にとって危険だから」というわけではありません。
現に自分は薬によってなんとか生活できていおり、過去調子良かったときにリフレックスを減らそうとしたときにうつが悪化したこともあるので間違いありません。
禁止では無く指導であって、出してはいけないわけではなく、例外規則もあります。
なのに患者の意見も聞かず一方的に「出さない」というのは、単に診療報酬が減るからとか報告が面倒だからとしか思えません。
まして急に抗うつ薬を止めることは離脱症状が出ることは確実でそれを知っているはずなのに。
上でリンクした精神科医のブログを引用します。
上記のアナフラニールの人に質問された。
なぜ、制限されるんでしょうか?
僕の答えは、
国がそう言っているので仕方がないです。
つまりだが、日本の医療は精神医療に限らず保険制度のもと行われており、常に国の管理下にあるのである。
最後に
自分にとっては死刑宣告に近いことを言われて、すぐに何軒かの病院に電話して同量の処方で受け入れてくれるかどうかを相談しました。
土曜だったのでやっている病院も少なかったのですが、1件月曜に回答をもらえる事になりました。
当然ながら、薬無しで日常生活を送れるようになるのが一番です。
体調と精神状態が良くなってきたら、減薬していくべきと思います。
でも今の自分には薬が必要です。
仕事は何とか行けているものの、正直身の回りのことはできていません。
仕事は何とか行けているものの、正直身の回りのことはできていません。
洗濯は洗濯機で何とかなりますが、掃除、入浴、身だしなみなんかは適当です。
食事はお米だけ実家からもらえるので炊くものの、後はふりかけと味噌汁とか。
社会人としてどうかというレベルですが、SEで客先常駐なのであまり対外的な業務が無いので何とかなっています。
この話を厚生労働省に訴えても意味が無いのでしょう。
しょせん、うつ病患者1人が騒いでるだけで、むしろいなくなった方が医療費が減って助かるかもしれません。
「もっと苦しんでいる人もいる」と言う人も湧いてくるかもしれません。
医者にしても患者1人いなくなったところで痛くもかゆくも無いでしょう。「嫌なら他行け」と言えるくらいなのだから。
でもその1人にとっては見えている惨状が全てです。
薬がどうなるか不安なまま、明日も仕事に行かなければなりません。
4月になって規制が強化された結果、自分と同じような状況におちいる方がいらっしゃると思います。そういう方に届けばと思って書きました。
大きな声になって、病気で苦しんでいる人がさらに辛い思いをしなくて済むようになることを切に願います。
今の日本では一度体を壊してしまってレールから落ちると戻るのが大変です。今大丈夫でも、決して無理せず、自分のように悪化させないように気をつけて下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
もし東京か千葉で、この件についてきちんと相談に乗ってくれる病院があったら教えていただけると助かります。→見つけました。
2016/04/17追記
熊本の地震がおさまらず大変なことになっています。
自分を助けるくらいなら、どうか募金や義援金に使って下さい。